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「お待たせ」
穂高は皿に盛ったラ・フランスと4本のピックをテーブルに置いた。
ラ・フランスを差し、結月の口に運ぶが、史哉がいる手前、結月は抵抗した。
「...なに?僕の持ってきたラ・フランスが食べれない、て言いたいの?」
「そ、そういうわけじゃ...」
もう1度、穂高がラ・フランスを差し出すと、ようやくゆっくり結月は口を開き、受け取った。
「...甘い」
結月は思わず、口を押さえた。
「美味しい?」
穂高が尋ねると結月は頷いた。
「とっても...甘くてみずみずしい...」
高級のラ・フランスなだけあったな、と史哉もラ・フランスをピックに差し、食べた。
「俺には?」
拓磨に聞かれ、史哉は思わず、
「なにが?」
と聞いた。
「食べさせてくんないのかなあ、とね」
「食べさせて欲しいわけ?」
史哉が笑った。
「ほらよ」
穂高がゆっくり結月のペースで食べさせている最中、史哉はかなり雑に拓磨の口をこじ開けるようにラ・フランスを放り込んだ。
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