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史哉が結月を穂高から自分を引き離した厄介者、そう思えなくなったのは、穂高が心底、自分を思ってはいなかったことに気づきたくなかっただけでは無かった。
史哉は自室で頬杖をついて思い返した。
結月と同じくらいの頃、結月が突然Ωに変異したのとは違う、史哉は自分がΩだと知っていた。
にも関わらず、学校でヒートを起こしてしまった。
自分を狙っていたαが多数いる事は史哉は知っていた。
自分が穂高に付き纏って居なければ....。
「...あの子みたいになっていたのかもな」
ヒートを起こした自分を抱え、他のαに気付かれまいと医務室に穂高は走り、穂高は史哉に抑制剤を飲ませ、他のα達から自分を守ってくれた。
穂高に付き纏っていたから災難を免れたのだ。
そして、ますます、穂高が好きになった。
けれど、一方、当時、ヒートを起こした自分にαの穂高は反応しなかったのは事実だ。
今まで、孤独な穂高を誘惑し、甘え、体を重ねた事はあった。
気持ちがなくてもいずれ、穂高も自分を見てくれるだろう、と信じていた。
「...信じたかっただけなんだよな、結局」
史哉は唇を尖らせた。
「...Ωとしては先輩なんだよな...なにが出来るだろ」
史哉の中で結月への存在が変わり始めていた。
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