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穂高が空になった器を持ち、結月の母親のいるリビングでお代わりを頼むと、母親は驚きながらも立ち上がり、キッチンへと向かう。
「一口も食べたがらなかったあの子が...穂高さんのお陰ね」
雑炊を温めながら、背後に立つ穂高に笑みを浮かべ感謝を述べた。
麦茶と雑炊を持ち、再び、穂高は結月の部屋へと入ると、結月は先程いた部屋の隅ではなく、テーブルのある真ん中にちょこんと正座して穂高を待っていた。
そんな結月に穂高は優しく微笑みかけた。
「お母さんが温め直してくれたよ」
レンゲで雑炊を掬うと結月の口元に運ぶ。
口を開け、雑炊を頂く結月だが、心無しかほんのり顔が赤く染まっている。
「じ、自分で食べる」
穂高は結月にレンゲを渡し、結月がフーフーしながら食べ終わるまで、そっと傍らで穂高は結月を見守った。
「...結月。明日、一緒に病院に行こう。僕も着いていくから」
結月の手が止まった。
「逃げてばかりいても仕方がないよ。僕も力になる。医務室を空けていた僕にも責任があるし」
穂高は大きな手のひらで、まだ13歳の小さな結月の頭を包むように撫でた。
「大丈夫。きっと大丈夫だから。ね?」
かなりの間があったが、結月は無言で小さく頷いた。
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