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まだ13歳ながら誰の子供かもわからず妊娠してしまい涙が止まらない小さな結月を穂高は精一杯抱きしめ、慰めた。
運転中も袖で必死に涙を拭う結月をなんとも居た堪れない思いで眺め、結月の家へと向かい、病院で知らされた全てを結月の両親に穂高から説明した。
隣の結月はずっと泣きじゃくり、しゃっくりも止まらないでいる。
結月の父は偶然にも、幼なじみであり恋人でもある史哉の製薬会社とライバル会社の別の製薬会社の役員だとわかった。
初めて会う結月の父に穂高は深く頭を下げ、詫びた。
自分が医務室を空けていた間に起きた不始末であること。
自分が不在でなければ、結月の妊娠は防げていただろうこと。
頭を上げるよう、結月の父に言われ、穂高は頭を上げ、結月の両親をまっすぐに見据えた。
「このまま、在学という訳にはいきません。堕胎させる訳にはいきません。僕に全責任を負わせてください」
「どういう事だね?」
「結月くんが大人になるまで僕に結月くんの面倒を見させてください。結月くんの子供も、我が子と思い、面倒を見させてください」
結月もびっくりしたのか泣きやみ、結月の両親も唖然となっている。
「結月と...君は幾つだね?」
「23です」
「恋人はいないのかね」
「...います。ですが、幼なじみ以上の気持ちは僕にはありません。何より、僕は結月くんを放っておけません」
「そうは言ってもあなたが結月を...」
「お腹の子供の事も考えたら、在学は難しいかと。僕が教えても構いませんし、なんなら、結月くんの為に専属の家庭教師を雇っても構いません」
「...君の父親が医師会の理事長だから、息子の君が尻拭いという訳かい...?」
「父は関係ありません。僕自身の希望を伝えているまでです」
丸1日話し合った結果、これからお腹も目立ってくるだろう結月を実家に置いておく訳にもいかず。
結月は穂高と2人の生活をスタートする事となった。
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