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「じゃあテストしよう!」
「……テスト?」
「目に見える様にするためのテスト!それなら君も決めやすくなるだろうし丁度いいよね」
そんな突拍子のない提案に、どう反応するのが正解なのか私には判断出来ない。
そもそも私は圧倒的にコミュニケーション能力が足りないのだ。この情緒がとてつもなく不安定な訳の分からない先輩の相手をするのは荷が重い。
本当に何故、こんなにも感情の振れ幅が大きいのだろう。……王子様という猫を被りすぎたせいかだろうか。はたまたサイコパスの方が精神に異常をきたしているのか。正直疲れるから解放して欲しい。
失礼な事を考えながら、とりあえず話の続きを待つ。
「内容は至って簡単。一、君と君のクラスメイトをさっきの低級の霊よりちょっとレベルの高い霊がうじゃうじゃいる廃病院に送る。二、その廃病院はちょっと特殊で、普通の人にも霊が見えるようになる。三、君には霊や人から感知されにくくなるかなり特別な数珠を渡しておく。以上」
ちっとも分からない。説明になっていないし、そもそも送るってなんだ。
「まぁ、実技テストみたいな感じだよ」
混乱する私に先輩は説明を付け足すが、残念ながら理解出来なかった。
「それをする意味は何ですか?」
「まだ秘密。と言うか、行ったらわかると思うよ」
先輩はどうやら何か確信しているらしい。まるで未来でも見えてるかの様な口振りだ。
「手当も終わったし、丁度昼休みも終わる。さっそく今から行ってみようか」
意気揚々と保健室を出ていく先輩の背中はひどく楽しそうで。私は仕方なく。本当に仕方なく、後を追う事にした。
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