キミの隣、ふわり

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「じ、じ、邪魔じゃないですっ」  思わずうわずった声を発した僕を見て、楓さんがクスクス笑っている。 「本当に〜?遠慮しなくていいから、一緒にお風呂入っておいでよ。俺、アスナ送って帰るよ」 「マジで?じゃあ、そうするー」  龍さんは無邪気な声を上げると、僕の手を掴んでその場に立たせ 「おっ風呂、おっ風呂」  と、歌っている。可愛い。可愛いけど、一緒にお風呂は恥ずかしい、です。 「や、一緒にお風呂とか無理です」 「無理じゃないよ。うちのお風呂大きいし。さぁ、入ろう」 「いや、大きさの問題じゃないです。とにかく無理です、無理です」  首をぶんぶん横に振ると、今度はアスナさんが参戦してきた。 「じゃあ、アスナが龍先輩とお風呂に入るー♡泡風呂にするー♡」  さっきまで泣いていたとは思えない満面の笑みで、龍さんに抱きついたアスナさんに、僕は慌てる。アスナさんの胸が、龍さんに、龍さんにっ‼︎ 「わぁーー‼︎離れて下さい、離れて下さいっ」 「やぁだぁ♡だって、司は一緒にお風呂入るの嫌なんでしょ?だったら、アスナが入る♡アスナ、嫌じゃないもん」  体を密着させたまま、アスナさんが潤んだ瞳で、龍さんを見上げている。薄く開けた口からは、ちらちらと舌が覗いている。この人……、本気だ。 「はいはい、そこまで。さぁ、帰るよ、アスナ」 「え、やぁだぁ。龍さんとお風呂入る‼︎」  楓さんによって、龍さんから引き剥がされたアスナさんは、ジタバタと暴れている。この人、本当に油断ならないっ。 「お風呂なら、俺と入ろうねー」 「はぁ?なんで楓とお風呂入らなきゃいけないのよ‼︎バカじゃない?」 「アスナも大概バカだと思うけどね」 「はぁ?ちょっと、そこ座んなさいよ‼︎」  アスナさんはいつもの調子に戻ると、2つのグラスに並々と日本酒を注ぎ、ひとつは楓さんの前に置き、もうひとつのグラスからお酒を飲んだ。 「いいね、いいね。アスナ、良い飲みっぷりだよ。さぁ、飲もう」  楓さんもぐいっとグラスを傾け、2人で酒盛りを始めてしまった。本当、酒癖悪いな、この人たち……。少し呆れながらも、幼馴染ってこういう感じなのか、羨ましいなって思った。
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