キミの隣、ふわり

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   アスナさんはご機嫌斜めだ。 「あー、頭痛い。全部、楓のせい。違う、半分くらいは司のせいだからね‼︎」  あんた呼ばわりされるよりはマシだけど、アスナさんが二日酔いになったのは、飲み過ぎた自分のせいだと思うのは僕だけ? 「なによ。言いたいことがあるなら言いなさいよ。うっ、あ、たま痛い」 「言いたいことなんてないです。強いて言うなら、早く薬を飲んだ方がいいですよ?」 「だって、薬嫌いなんだもんっ。うーっ、頭痛い」  アスナさんは差し出した薬の箱を押し返すと、クッションに頭を埋め込んで、うめいている。可哀想……。  ブランケットを掛けて、背中をとんとんしていると、しばらくすると静かになった。眠れたみたいで安心した。  楓さんは、アスナさんから少し離れたところで、もちろん寝ている。この間も、昼過ぎくらいまで寝ていたらしいから、今日もそうなのだろう。 「司、時間まだ大丈夫?」  朝ご飯の片付けを終えた龍さんが、僕の頭をくしゃっと撫でる。腕時計を確認すると、もう少し余裕があった。 「まだ大丈夫です。それで、ひとつお願いがあるんですけど……」 「ん?」 「バス停まで送ってください。龍さんとお散歩がしたいです」 「なんだそんなことか。お安い御用ですよ、姫」  そう言って、手を差し伸べてくれた龍さんの手を取り、バス停までの道をゆっくりと歩いた。
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