キミの隣、ふわり

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   今日は開店と同時にお客様がやって来た。ドアに掛かっている看板を、closeからopenに変える為に外へ出ると、3組のお客様が待っていた。少し前までは、めちゃくちゃ暇だったのに、いつの間にか、お客様が開店前に並ぶようになっていたなんて……。  11時に開店してから、お客様はずっと途切れることがなく、僕と龍さんは忙しなく働いた。 「ありがとうございました」  そう言ってお客様を外まで送り、おいしかったね、と話している背中を見ていると、龍さんが看板をcloseに変えた。腕時計は15時を指している。お店を閉めるには、少し早い気がする。僕がきょとんとしていると 「片付けて昼飯にしよ」  と、言って、龍さんはお店の中に戻って行った。 「何作ろっかなー。時間が微妙なんだよな……」  2階のキッチンで腕組みをしたまま、真剣に悩んでいる龍さんの後ろから、腰に腕を回してしがみつく。今日は忙しくて、話す暇もなかったから、少しでもくっついていたい。 「時間って、なんの時間ですか?」 「祭りの出店、16時からなんだけど、朝食べたきりだから、腹減ってない?」 「お祭りって、今日もあるんですか?」 「あれ、俺、土日って言ってなかったっけ。ごめん、今日もあるよ。花火も一緒に見られる」 「花火、昨日、終わっちゃったのかと思ってました」 「昨日はチビたちが、手持ち花火をやってたんだよ。あれはあれで、司に似合いそうだったから、今度買ってあげるね」  一緒に打ち上げ花火を見られるのも嬉しいけど、一緒に手持ち花火をするのも楽しそう。 「はい。龍さんと花火やりたいです」 「大きい袋詰めのやつ買おう」 「はいっ。あ、」 「どした?」 「ファッションとくらに行きたいです。お昼ご飯は我慢します」 「なんで、とくら?」 「それは秘密です」  不思議がっている龍さんを連れて、僕はファッションとくらまでの道を駆け抜けた。走るのは疲れるから嫌だと、駄々をこねる龍さんは、とりあえず無視した。
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