892人が本棚に入れています
本棚に追加
お祭りの片付けを終え、お店に帰って来た頃には、すっかり夜も更けていた。お祭りは楽しいけど、終わってしまうと、なんだか寂しい……。
テレビボードの上に、アヒルとあざらしを並べて、片付けを手伝ったお礼としてもらった、ダイアモンド型のキラキラした飾りも隣に並べる。うん。可愛い。
「司、風呂入っちゃいな」
「はーい」
着替えを持って洗面所に行くと、待ってましたとばかりに、龍さんが僕の腕を掴んだ。すっごく、嫌な予感がする……。
「龍さん、何する気ですか?」
「何って、脱がせるんだよ、浴衣を」
言ってた。確かに言ってたけど、本当にするんだ。
「でさ、考えたわけだ。ベッドで脱がせるのも捨てがたいけど、とりあえず、濡らすのはどうだろうって」
「……は?」
「どうせ風呂入るし、洗濯もするし、濡らしちゃおうぜ」
うん。間違いない。龍さんはやっぱり酔っている。
お風呂場の壁に僕の両手を縫いつけてから、龍さんはウキウキした表情でシャワーを出した。高い位置から降り注ぐお湯が、浴衣を確実に濡らしていく。肌に張り付いた浴衣ごしに、僕の体の線をなぞっている龍さんが、色気だだ漏れの視線を送ってくる。本当、やめてほしい……。
啄む様に唇が重なって、ちゅっという音が反響する。唇を割られ、舌が滑り込む。だんだんと深くなるキスと、シャワーの音に混じって聞こえる龍さんの吐息が、僕の体を熱らせる。
指を絡め、舌を絡め、脚を絡める。僕の浴衣はいつの間にかはだけて、左肩からずり落ちている。裾を割られて、脚が露わになっているのも、なんだか無性に恥ずかしい。
「っ、龍さん、そろそろお風呂、入りましょ?」
「全部脱がせたら入るー」
全部って、もう、ほとんど脱げてますけどっ‼︎
すっかり濡れてしまって肌に張り付いた浴衣を丁寧に脱がせ、下着は自分で脱ぎます、と言う僕の言葉を無視して、いやらしい手つきで脱がせると、龍さんはやっと満足してくれた。
龍さんが着ていた浴衣は、結局、脱がせてもらえなかった。自分だけ、ずるい‼︎
湯船の中で、僕を後ろから抱きしめている龍さんを振り返り
「僕も触りたいです」
と、言うと
「恥ずかしいからヤダ」
と、返された。
「僕だっていつも恥ずかしいです」
「そうなの?じゃあ、いいよ、触って」
肩を掴まれ、体を反転させられる。龍さんと向かい合うのは、やっぱり恥ずかしい。相変わらず熱を持った瞳で僕を見つめる龍さんから視線を逸らすと、ぐいと腕を引かれ、太腿の上に跨がる格好になった。え、待って、めちゃくちゃ恥ずかしい……。
「触らないの?」
耳元で囁かれ、舌で耳を犯される。龍さんの舌が動く度、ぴちゃぴちゃと水音が響いて、ぞくりとする。
「っ、ん……、ゃ」
「ほら。触りたいんでしょ?いいよ」
龍さんの敏感な場所に手を導かれ、そのまま一緒に動かされる。だんだんと硬さを増してくるソレに倣うように、僕のソレも反応する。
「っ、……はぁ、司に触られると、なんか興奮する。もっと、触って」
龍さんの口から溢れる吐息が、僕の耳と脳内を刺激する。自分で触れたいって言ったのに、触れてもらえないことが歯痒くて仕方がない。
「龍、さんっ」
「ん?」
「僕も、触って、ください」
龍さんは余裕たっぷりに笑うと、僕のソレを手のひらで包み込み、ゆっくりと焦らすように、でも確実に快楽を与えていく。
「ん、ぁっ、はぁっ……っ、」
「っん、司、エロい。っ、ねぇ、もっと」
僕たちはお互いに触り合い、同じタイミングでイった。更に色気を増した龍さんが
「司、好きだよ」
なんて、吐息混じりに囁くものだから、僕は完全にヤられて、頭も心もすっかりのぼせた。
最初のコメントを投稿しよう!