届いていた

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届いていた

 前の職場は制服着用だったから、華やかなオフィスカジュアルの並ぶフロアにそわそわする。 「本日からお世話になる田村莉緒(たむらりお)です」 「うん。うちは半分がリモートだから少ないけどよろしくね」 「よろしくお願いします」  挨拶を交わした上司も覗いてみたい好奇心がくすぐられるもじゃもじゃの髪に、セーターにスラックスという装いだ。  休みはあっという間で、結局あれこれ準備をしているうちに終わってしまった。新しい職場は現代的で爽やかなオフィスだ。 「あ、そうだ。わからないことあったら隣の鈴木さんに聞いてね、彼女優秀だから」 「わかりました」  隣の席の鈴木さんは1時間差で出勤してくるという。話しやすい、と言っていたけど逆にやりづらさを感じそうで怖い。同い年の女性で優秀とか、それでいて容姿端麗とか? 想像が巡ってしまう。 「田村莉緒、さんですか?」  仕事に没頭していたら声をかけられた。 「は、はい! ……え?」 「久しぶり、鈴木春奈です」 「はるっ……パルパ、あ」  ふふ、と春奈は微笑む。 「パルパルはまずいかもね」
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