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だが、明らかに異質な風貌の男は、冒険者が出てくる小説のキャラクターといっても差し支えない。実体を持っていることだけが異質だが、コスプレにしてはリアリティに溢れている。
漂う気配に、立ちあがる匂い。
それは、日本の平和な日常とはかけ離れていた。
おそるおそる、ギルドカードという部分を押してみる。決済を促す画面が出て、男はまたも慣れたようすでカードを端末に触れさせた。
電子決済特有の音が鳴り、支払いが完了したことがわかる。
これ、どういうふうに売り上げにあがるんだ??
レジを閉めたときがすげー怖いんだが。
謎の外人が出て行ったあと、ふっと店内の空気が変わった。
有線放送から流れる陽気な音楽が耳に届き、俺はようやく、いままで無音だったことに気づく。
なんだったんだ、あれ。
「およ、どうした」
バックヤードから顔を出したのは、今日の相方である先輩。
先輩は俺の顔色を見てなにかを察したのか、端的に問いかけた。
「あ、もしや買いに来たか、異世界人」
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