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先輩によると、俺は「選ばれし者」らしい。
なにそれ、カッコイイ。
「意外と大変だぞ。あいつら土まみれで来ることあるから、掃除しなきゃなんねーし」
指さした先をみると、入口からレジまで大きな足跡があった。
雨が降っているとこういうことはよくあるが、ここ一週間は雨なんて降ってないし、付近に水場もない。
足跡ぐらいならいいほうで、たまに血が落ちているとかいうから恐ろしい。巡回中の警官に見られたら、とんでもないことになる。
先輩と一緒にモップ掃除をしながら、詳細を聞いた。
深夜のとある時間帯、このコンビニは、どこかの世界に入口を開くらしい。
場所は、ダンジョン。固定された階層に開かれる店。それが、うちのコンビニ。
かつて家庭用ゲームの「なんたらの不思議なダンジョン」とかをやっていた俺は、そういうふうに理解した。
驚いたことに、この怪現象はオーナーも認識しており、むしろ彼らのためにせっせと商品を並べているらしい。
たしかに保護先芯の入った安全靴は、モンスターが出現するダンジョンでも大活躍だろう。踏み抜き防止のインソールがあれば、足場が悪い場所だってへっちゃら。
丈夫な革手袋は、耐熱以外にも役に立つ。切創用の手袋もあります(宣伝)
こういった「現場作業」で使われるものは、基本的に安全に考慮した、安心のJIS規格の製品だ。日本の技術は素晴らしい。
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