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2学期を迎えるにあたり、席替えで当てたのは一番前の窓際だった。 ごく一般的な高校生だったら、その席で一学期過ごすという事はとてつもない苦痛を感じること事だと思う。だって一番前の席は、先生からの注目を受けやすく、後ろからの圧迫感があるので誰からも好かれない嫌われものの席だから。 でも、そんな嫌われものの席は、私にとって最高の席だった。 新しい席に椅子と机を移動させて席に座ると、さっそく同級生のひそひそ話が聞こえてくる。 本人たちは聞こえてないと思っているのだろうけど、言われている本人は、悪意ある言葉ほど聞こえてしまうものだ。それをやり過ごすには聞こえないフリをするか、耳を塞いで聞こえないようにするかしかなかった。 やっぱりこの席は丁度いい、と自分に言い聞かせる。 だってこの席だったら、心ない言葉を投げてくる同級生を見る事なく、ただ外から見える青空を眺めて聞こえないフリができるのだから。
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