プロローグ

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プロローグ

夏の終わりと冬の始まりの中途半端な時期に、親の仕事の都合というありきたりな理由で転校が決まった俺は、転校の手続きを済ませてこれから通う学校内をブラブラと見物していた。 初めての校舎に油断し、案の定、迷子になって職員室がどこか分からなくなっていた。時刻は午後5時過ぎ。生徒もちらほらしかおらず、途方に暮れていると、偶然女の子が通りかかったので、俺は藁をもすがる思いで職員室が何処なのか聞いてみた。 その女の子は無表情のまま、しばらくこちらを見て、やはり無表情のまま職員室までの道のりを丁寧に教えてくれた。 俺は「ありがとう」と彼女に感謝をし、教えてもらったルートに従って歩み出した。 ふと背中越しに「ごめんなさい」という言葉が聞こえたような気がしたので振り返ってみると、彼女はまだそこにいて、急に俺が振り向いて驚いたのか、慌てて反対方向に走っていった。 小さくなる背中を見送りながら、何に対して謝罪しているのか分からないまま、踵を返して教えた通りのルートで職員室を目指したが、結局、職場室には戻れなかった。 彼女が教えてくれた道のりをたどって着いた先は『2-3』と書かれた教室だった。
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