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「お巡りさん、こっちです! 男が、研悟先生に乱暴してるんです!」
「彩人!?」
心路は、突如家へ駆け込んで来た息子に驚いた。
そして、その後には警官が二人続いて上がって来る。
まさに、凌也のアッパーが研悟の顎をとらえた瞬間だった。
ヒトには、どうやっても鍛えられない急所がある。
顎は、その一つだ。
顎を打たれ、脳を揺さぶられた研悟は、とうとう床に膝をついた。
「どうだ、思い知ったか!」
嬉々とした凌也だったが、その腕は警官の手によって押さえ込まれた。
「君、ちょっと。この人と、どういう関係ですか?」
「見たところ、一方的に殴っていたみたいだけど」
突然のことに、凌也は慌てた。
(警官? いつの間に!?)
彩人が、研悟にすがりついている。
「研悟先生、大丈夫!?」
「ああ、痛いな。骨が折れたかもしれないな」
心路、救急車を呼んでくれないか。
そこでようやく、凌也はこのしたたかな男の策略にはめられたのだと気づいた。
わざと一方的に殴られておいて、俺を傷害事件の加害者に仕立て上げたんだ!
「研悟! てめえ!」
「静かにしなさい」
「言いたいことがあったら、署で聞きます」
凌也は、警官に連行されていった。
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