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「残念でしたね先生、今回こそ賞を取れると思ったんですけど」
「仕方ないさ、こればかりは。しかし無名の新人が文学賞か、どんな作品なんだろうな」
「今回の小説、かなり力入れてたし自信あったんですけどね」
「いや、まあ、精進しろってことだろう。君も担当以上のサポートをしてくれて本当に感謝してるよ、資料集めに取材にいろいろありがとう」
「いえ、これくらい編集者として当然です」
「ウソはいけないわ!」
バッターン、と激しくドアを開けて書斎に入ってきたのはあかりちゃん!
「!? おい、誰だ!?」
「毎回毎回文学賞は出版社が大賞を取らせないために用意したダミー、編集部は応募作品を一つも読んでいないわ! ウソは悪よ!」
「……なんだと?」
「先生、警察! 鍵かけてる家に入って来たんですよこの子!」
「今とても興味がわくことを言っていた、どういうことか説明してくれ」
「何言ってるんですか! そんな事あるわけないでしょう! どれだけ僕が苦労してサポートしたか知ってるでしょう!」
「ちなみに証拠はこれね!」
あかりちゃんは颯爽と紙束をばらまく! それは出版社で行われた会議の議事録! 誰も残していないはずの内容が事細かに書かれている!
ついでにスマホを再生すると担当者の声を含め編集者の話があかりちゃんの言う通り会議をしている! 会社を有名にするための手段だから全部原稿は捨てろと言っている!
「なんだよこれぇ!? 何なんだよお前!」
「そんなことはどうでもいい。どういうことが説明しろと言っている」
「待ってくださいよ、僕は本当に何も知らないんです!」
書斎から詰め寄る男の声と悲鳴のような声で弁明する男の声が響くがあかりちゃんはすぐに次の現場へと走る!
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