ごめんなさい

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「すみません...。気持ちが俺に向いてないの明らかなのに、諦めが悪くて」 「ごめん...」 「だから、...望月さんは悪くないのになんで謝るんですか」 「...飯塚君の気持ちは嬉しいけど、それに応えることはできないから」 ギュ、と自分の手を握りながら、飯塚君が用意したコップを見つめる。 長いこと沈黙が流れて、聞こえたのは。 「わかってます...」 小さな声だった。 人からの好意を断るのも、辛いんだなと知った。 そしてやっぱり気まずい...。 「望月さん。前も言いましたけど、気まずいとか思わないでくださいね」 心、読まれた? 「こういうこと言うとやりにくさを覚えるのは当然だとは思うんですけど、望月さんとはいつも通りいたいです。折角仲良くなったのに、また何も話せなかった頃のようには戻りたくないので」 「えっと、うん。もちろん。私も飯塚君とは今まで通り、楽しく話したい」 「お願いします」 クシャ、と笑った顔はやっぱり愛嬌があって、一瞬で緊張してた心を(ほぐ)されたような気がした。 なんだろう、安心したというか。 「望月さんはコーヒーですか?」 「うーん。今日はチャイにしようかな」 マグカップを三人分出している間に、飯塚君はティバッグの入ったコップにお湯を注ぐ。 「野口さん達の分ですね」 「そうなの。あれ、チャイがない」 あるべき所にないので上の棚を見てみると、チャイが入ってる小さい壺はそこにあった。 「誰だぁ、こんな所に置いたのは」 手を伸ばしてギリギリで届きそうな高さなので、長身の奴だろう。 やってくれるなぁっ、と眉をひそめ腕を伸ばしたところで、次には息が止まった。 飯塚君が取ってくれたのだ。うん、取ってくれたのはありがたかった。 でも、私の肩に手を置いて取る必要はあったのかい。 わからないけど、急に距離が近くなったせいだからだと思う。 顔が熱い。
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