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【Chapter4】聖なる夜
『私がお料理作るね。』
彼と交わした約束は守れそうになかった。
如何にもこうにも仕事が終わらない。
間も無く彼が迎えに来る時間だ。
私は慌ててシャワーを浴びると急いでメークをした。
マンションの階段を駆け降り、助手席側の窓を覗き込む。
彼が携帯電話から顔を上げ視線を私に向けた。
久しぶりの再開に喜ぶかと思いきや
「老けたんじゃないの?」
酷い………。
連日の徹夜で髪はパサパサ。肌はカサカサなのは自分でもよくわかっていた。
言い訳するつもりもない。
だが、あんまりな言い草じゃないか。
どうにか隠そうと思って髪にはヘアオイルをいつもよりたっぷりと。
メイク前にはパックもしてみたのに。
男性にこの苦労はわからないよ!
内心モヤモヤしながら
「今日はクリスマスディナー作れなくてごめんね。」
と、私は絞り出すようにそう呟いた。
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