佐々木

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俺はカツ丼を食べながら迷っている。

引っ越して２週間、行きつけ決定となった近所の定食屋。

店内には、他に３人の客がいた。

恰幅のいい中年の男。
大学生らしき青年。
30代後半くらいの短髪の男性。

俺が店に入ったとき、中年男と大学生はすでにいた。

最後に短髪男が入ってきて、おかみさんが

「あら！今日はスリーササキだね！」

と言った。

ポカンとする俺たちに、おかみさんは楽しそうに、俺以外の３人の名字が、佐々木なのだと教えてくれた。

佐々木たちは、嬉しいのか、照れ臭いのか、よく分からない表情で、よろしく、と言いあっていた。

挨拶を交わす彼らの横で、俺は考える。

俺も佐々木なんだけど、言うべき？