12

1/11
153人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ

12

帰り道、鈴音さんが話してくれた。 タイミングの悪いプロポーズ電話を切った後、残業を終えて家に着いた鈴音さんは俺にメッセージを送った。 -戻りました。佐々木さんも気を付けて帰ってきてね。 なかなか既読が付かなかったけれど、仕事が忙しいのだろうと、さほど気にしていなかった。 けれど、時間が遅くなるにつれ、心配になる。電話をかけようか迷っているうちに、遠くでサイレンの音が響き、その数が増えていく。 たまらず電話をかけたが、電源が切られているというメッセージが流れ、何度かけても変わらない。メッセージも何通も送ったけれど、既読すらつかない。 怖くなって家を飛び出し、サイレンの音の方へと走っていった。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!