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帰り道、鈴音さんが話してくれた。
タイミングの悪いプロポーズ電話を切った後、残業を終えて家に着いた鈴音さんは俺にメッセージを送った。
-戻りました。佐々木さんも気を付けて帰ってきてね。
なかなか既読が付かなかったけれど、仕事が忙しいのだろうと、さほど気にしていなかった。
けれど、時間が遅くなるにつれ、心配になる。電話をかけようか迷っているうちに、遠くでサイレンの音が響き、その数が増えていく。
たまらず電話をかけたが、電源が切られているというメッセージが流れ、何度かけても変わらない。メッセージも何通も送ったけれど、既読すらつかない。
怖くなって家を飛び出し、サイレンの音の方へと走っていった。
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