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「惚れた弱みだな。」 湯舟につかりながら呟く。結局、言いつけ通り自分の部屋に戻って風呂に入っている。シャワーで済ませず、きちんと湯舟で温まるようにと言われ、それも守っている。 「仕方ないよな。嫌われたくないもんな。」 自分で自分を慰める。相変わらず、鈴音さんが絡むとかっこ悪いことばっかりだ、と考える。 それでも、鈴音さんは俺のこと好きでいていくれるんだなと思うと、顔がにやけてくる。 「きもいぞ、俺。」 自分で自分を戒めて、風呂から上がる。 髪を乾かし、スマホを確認すると充電が完了していた。待ち受け画面に 着信 6件 メッセージ 11件 と出ている。なんだ、それほどでもないじゃないか、と思う反面、この着信やメッセージを残していた間、どれだけ心細い思いをさせたんだろうと思うと、胸が締め付けられる。 メッセージを開いて読んでいく。
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