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   月はたったひとつ、それだけで良い。    バーンシティ、と呼ばれる栄えた街を歩きながらルーナは思った。歩道の端には一定の間隔で月のような丸い電灯が設置されており、道行く人々を照らしていた。夜になっても明かりが消えることのないこの街の情報量が、彼女の思考回路を麻痺させ、もやのかかったように物事を考えられなくする。彼女はため息を吐いた。
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