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『両親から、誕生日を祝ってもらった。小さな丸いケーキをまるまるひとつ食べさせてもらった。二人が嬉しそうで、僕も嬉しくなった。そしてこの本をもらった。たくさんのありがとうを記録してって。ひとつ目のありがとうは僕の両親に。ありがとう』
ルーナとシオンは目を見合わせ、首を傾げた。シオンは癖っ毛に覆われた頭を指で掻くと
「これって日記ってやつかな?」
と疑問を投げかけた。
「そうみたいね。ね、続きを読みましょ」
『友達のジョンからもプレゼントを貰った。でも彼がポケットから出したのはすっかり溶けてベタベタになったキャラメルだ。うえー、汚い。でもなんだか嬉しかった。ジョン、ありがとう』
またしても二人は目を見合わせた。それからこの滑稽な内容に笑いをこぼした。二人にはケーキもキャラメルも分からなかったが、何故だか不思議と温かい気持ちになった。
それから先の数ページも、同じような内容と文末に『ありがとう』。あるページを境に、ぱったりと書き込みはなくなってしまった。
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