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ルーナは今年で十五の歳を迎える少女だ。バーンシティとは対照的に田舎町、スモークタウンの出身。いわゆるロークラスの貧しい家庭の人間だ。この国はハイクラスとロークラスとではっきり分かれた社会が形成されており、貧富の差に関しても言うまでもなく大きな差がある。
そして今年の初め、あまりにも大きく開いた経済的格差、教育水準の格差を縮めるべく新たな政策が施行された。スモークタウンからランダムに選抜された数十人の人間をバーンシティでの教育、それから仕事に就かせるというものだ。今の時点では試験的なものとなっているが、この先更に人数を増やそうという話も既に上がっている。
この政策は前向きで希望があるように聞こえるが、実際市民からの受けは非常に悪かった。特にバーンシティの住民からの批判は強く、スモークタウンからやってくる人間のことを「ドリフター」つまり漂流者と呼んで煙たがった。暴行などの話もちらほら聞く程度には差別的な視点が強く、スモークタウンの人間はそのことに強い憤りを感じていた。
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