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  「教科書データの二十七ページを開いてください。この街における主要な蒸気機関の構造、またその需要と......」  大きなスクリーンの隣に取り付けられた穴だらけのスピーカーが震えながら音を発する。生真面目そうな生徒達がパチパチと音を立てながら薄く平らなボードを指で叩く。この退屈な時間が一時間。この後十分の休憩を挟み、全部で六回の講義が繰り返される。休憩時間以外では生徒は呼吸すら忘れたかのように椅子に座り、機械的にボードを叩く。    人混みの中を歩きながら、ルーナは講義の様子を頭で思い浮かべ、思い出したかのように痛み出した目をほぐす。講義中の光景を見る度にルーナは日付が分からなくなる。このような同じ繰り返しが、学校に通い始めてから毎日続いている。
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