1

1/5
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ

1

   月はたったひとつ、それだけで良い。    バーンシティ、と呼ばれる栄えた街を歩きながらルーナは思った。歩道の端には一定の間隔で月のような丸い電灯が設置されており、道行く人々を照らしていた。夜になっても明かりが消えることのないこの街の情報量が、彼女の思考回路を麻痺させ、もやのかかったように物事を考えられなくする。彼女はため息を吐いた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!