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コロナ渦中の闘病日記 -Ⅳ,原因不明-
2021年1月4日に私は微熱どころか38~39℃に上がった高熱の原因を突き止めるべく、掛かり付けのクリニックに向かった。
高熱以外の症状として、全身のだるさ、寝汗、悪寒が生じていた。全て感染性心内膜炎の症状である。しかし、熱があることでコロナに感染したのではないかと、不安で寝付きのよくない日々を過ごしていた。
後に分かったことだが、本来の微熱とは38℃~を指し、37,5℃は感染症における微熱の目安と言われている。
そのため、高熱以外に呼吸が苦しい、肺に違和感があるもしくは痛い、髪が抜ける等のコロナに感染すると生じる症状が全く出ていないことに、クリニックの医師は頭を傾げた。
「PCR検査は受けられましか?」
医師に一言に、私は首を横にふった。
「昨年末に微熱が出てから、検査機関や保健
所に問い合わせても検査が受けられなく
て」
「こんなに熱があるのに検査が出来なかっ
たのですか?」
「はい。何ヵ所か電話で問い合わせをしま
したが、予約がいっぱいだからすぐには受
けられない、電話での問診で高熱程度なら
経過観察をするように言われました」
主治医は眉を潜め、私を見た。
「コロナにしては、熱が高過ぎです。ま
た、コロナに当てはまる症状も出ていませ
ん。検査を受けていないので断言はできま
せんが、コロナである可能性はかなり低い
でしょう」
このクリニックでは、PCR検査をやっていない。検査が受けられることがベストだが、取り敢えずコロナではなさそうで、胸を撫で下ろした。
「体内に何がおきているのか調べますから血
液検査をしましょう」
注射は嫌です、など拒否をする権利もなく大人しく採血に応じた。
後日、血液検査の結果を知るため改めてクリニックに向かった。体内からは大量の菌(当初ウィルスと聞いていたが、後に菌と判明)がいることが分かった。
CRPとよばれる白血球が体内に侵入した異物(菌やウィルスなど)と闘った際に生じるたんぱく質の数値が正常値を遥かに上回っていたのである。
何らかの菌かウィルスが体内で暴れており、発熱を引き起こしているようだ。
「抗生剤を3錠処方しますので、1日1回夜
に飲んで下さい。7日間は効果が継続しま
すので様子をみましょう」
抗生剤を今まで処方されたことがなかったので多少の不安があったが、高熱とそれに伴う発汗、倦怠感が辛いため指示に従い3日間飲んだ。
ところが服用した初日から抗生剤による副作用が生じて、私は更に苦しむことになった。下痢、嘔吐、胃の不快感が追加されたのである。これもまた後で分かったのだが、処方された抗生剤には、服用した方の1割程度ではあるが、嘔吐などの副作用を起こす為、副作用が出た時点で服用をやめるよう現在入院している病院で言われた。
「でも、全部飲んじゃったんでしょ?」
哀れみの目で医師に言われたときは、無言で頷くしかなかった。
「副作用に関する説明は全くなかったので。
医師と看護師から必ず3日分飲みきるよう
に言われまして」
私が事実を述べると、医師はため息をついた。
「効果が一週間は継続するから、副作用で大
変だったでしょう」
「はい、1日に3回吐いて、8回下痢をした日
は、もう駄目かと思いました」
あはは。
場の空気を和ませようと思って言った一言が更に空気を重くした。医師の私を憐れむように見る目が何とも言えなかった。
話を副作用が出た抗生剤を処方した、かかりつけのクリニックに戻す。
副作用に驚いた私は、再度クリニックに駆け込んだ。バツが悪そうに抗生剤を処方した医師は、
「副作用でましたか。あれが一番副作用が出
なくて、アレルギー持ちの方には有効なの
ですが」ゴニョゴニョ言い分けをした。
あの…私はアレルギーはごさまいませんが…。突っ込みを堪え、口をつぐんだ。既に副作用が治まっていたことと、連日の高熱と発汗で不眠になりかけていた私には、ふぅん、くらいにしか聞こえなかった。
暫く沈黙が続いた後、医師は口を開いた。
「甲状腺の不具合を疑った方が良いかもしれ
ません」
甲状腺?
聞いたことがある程度で、身体の何を指すのか全く分からない。しかし、原因を特定して早く高熱から解放されたい。
早速翌週に甲状腺の専門病院に予約を入れ、検査を受けることにした。
まさかその病院でコロナに感染していないのに、コロナ差別をされるとは私は微塵にも思わなかった。更に、その病院に行ったことで感染性心内膜炎を悪化させる要因になったことも。
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