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環希は慣れた風情であっても、連れのこは二歩三歩と遅れ、進むたびに徐々に距離ができていく。どうやら遠慮をしているような雰囲気。
宿の名前が書かれた鮮やかな群青色の暖簾の下を、ゆるくくせのある洒落たアッシュブロンドの髪の環希が通ると、遅れてふんわりとした服のロングスカートのすそが可愛らしくなびいて通る。
二人の訪れを待っていた宿の者が出迎えの挨拶をし、蔵を利用した客屋へと案内する。その間環希はときより振り返り、後からついて来るこに、にこにこしながら話しかけていた。
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