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すると今まで横で黙って見ていたレギーは、二人の間に入り込み、アリスティアを庇うように腕を広げた。
「ベル様!何をおっしゃっているのですか!!」
「なんだ?私が伴侶を添えれば国は安泰になるのだからよいだろう?」
「伴侶って…!クレメント公爵令嬢は他国の令嬢であり我々の大切なお客様ですよ!?」
「国にとってはな。だが俺にとってアリスティアは客ではない、ただの人間だ」
そう言ってベルはアリスティアの手を取りながら言った。
「どうだ?アリスティア、私の嫁にならないか?」
「え、えっと…」
アリスティアはジールの方に目を向け助けを請うが、彼はあろうことか私から目をそらした。
(あんた側近なんでしょ!!……てかこんなの話の中に無かったんだからなんて答えればいいのよー!!)
思わず頭を抱えたくなるが、そこは公爵令嬢、姿勢を正しニコリと愛想笑いを浮かべるとベールの方に向き直り答えた。
「ベル様、私はこちらでの用事が済めばすぐに他国へ渡るつもりです。ここに滞在するのもおよそ半年、それに私はまだまだ成人前の令嬢のため世間の常識を知りません。
ですから、お誘いは光栄なことにございますが謹んでお断りいたしますわ」
正しいのか分からない辿々しい敬語を使い、はっきりと断りを入れると、ベルは、「そうかそうか」と笑った。
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