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窓辺のオレ達
夜の月明かりもいーがオレは
やっぱ昼の日差しが最高や
外を眺めてそしてまだソファーに居るのか
はい居た
まだ寝とるわ
昨晩の事件を引きずっているオレとは対照的に何て事ないんだろ。あいつめは!
「よー寝るな!」
お前の様に抱きしめて慰める事はできない。
顔に穴あいちまう
お前が してほしくて甘えても実は撫でてる彼女が気持ち良くって癒やされてるんだよな。
お前が鳴いて話せば全然違う答えだろうが彼女が話しかけてくれる。
無敵の鳴き声やで
彼女がソファーで横になっていたらお前は近くに行ける。
その四本足 ニ本くれん?
オレの良さってなんや?なー?
滅多にやらなくていい水やり
それなん?
それしかないやんアホや
丸くなって寝たままのキジを見ながら暇を潰していた。いつもの場所で日差しを感じながら問いかけていた。
「アイツら何処行ってんやろ」
オレはまた外の鳥達を見ながら、一生解けない疑問を呟いた。
もし聞いてたとして こいつにだって解けない。
ここを自由に歩き回るキジにも窓の外のそいつらが何者で何なのか分からないんだろう。
窓の先を見つめるキジの姿を思い出しながらオレは思った。
とっくに日が落ち、そろそろ彼女が帰って来るはずなのだが。暗くなってから結構な時間が過ぎている気がした。
キジは隣の部屋に行ったきりから
やっとここの部屋に戻って来た。
そして今ではテレビの横にある3階建てのタワーの上で玩具に夢中で遊び始めた。
「なー?遅ない?」
昨晩の忘れたんか?こいつは
何がおもろいん?
そのネズミのしっぽに鳥の羽つけたん
よー遊ばんわ
キジが手を止めてオレを見た。
じっと。
ん?
あら?聞けた?
口に出しとらんで
「今日も月がキレイやわ」
先に目を背けた。
外を見ていたオレが話した
一応は話し相手のいるタワーの方へ向くと
もうオレの隣にキジが移っていた。
「だっ!」
「ビビるわ!アホ」
ビビるオレを気にもせずにキジは見つめている。
唯一、オレの居場所であり自由なこいつには実は来てほしくない。
「見てみ月キレイやな」
そんなのは見ずにオレを見ているのはわかっている。だがビビった自分を格好つけたくて言っただけなのだ。
小さな鼻を用心しながらオレを嗅いでいる。
なんや まだオレの事信用してないん?
バタン!
おっと やっとや
その瞬間キジはもうドアの前に座っていた。
「ただいまー!」
声と一緒に2つめのドアが開き電気をつけた。
「おかえり〜」
良かった今日は大丈夫そうやな
彼女はドアを背中で閉めた。
「あーー!!」
彼女は言いながら両手を広げ体を伸ばしてあくびをした。
結構デカいで声
伸びた両手を下ろしながら顔を正面に向けると
眉を上げ目を丸くしてオレを見た。
心配しとったわ 何時や今
そのまま彼女はゆっくりと歩いた。
その横でキジも彼女と一緒に進んだ。
彼女はオレの前で止まり真っすぐ見つめたままバッグを床へ離した。
キジは窓辺に飛び乗りオレの横へ来ていた。
え?どないしたん?
なんだい
満面の笑みで彼女はオレを見つめ続けていた。
いや〜良かったよ 元気になって
いやいや君は笑顔が一番さ
そして彼女はこう言ったんだ。
「咲いたね〜テン君!」
「ねぇ?キジ君 テン君キレイだね〜」
ん?
オレはオレに何があったのだろうと
キジに目を向け見つめたままのそいつは
「見てみ」
目が点とはこうゆう事やな
よう やっと
口聞いてくれたわ
昨晩に続く事件やで
オレの後ろに広がる暗くなった窓には笑っている彼女と外を見つめたキジとオレが映っていた。
そこに映っているオレを注意して見た。
オレの頭の上には淡いピンク色の花が開いてた。言葉にもせずオレは驚いていた。
この部屋に居る間は1番触れているであろう四角い物体をスーツから取り出し何だか彼女は楽しそうにしている。
その慌ただしくしている彼女とオレの横で外を見つめるキジがいる
オレは窓に映ったままで眺めていた。ずっと見ていたかったから。
いつからだったんだ
オレはオレに見惚れながら思い出そうとしたが 昨日の夜はさすがに違うし。
日が落ちてタワーで遊びに夢中になっているキジと、そこからオレを見つめてたキジと、オレの横に来て嗅ぎ続けたキジを思い出した。
まあ本当のところどうでもいい。
彼女は今オレを見て楽しそうに笑っている。
出窓から少し離れていた所からまた彼女はオレに近づいた。
鉢に差してあるオレのトリセツであろう物を手に取り彼女は言ったんだ。
「コリファンタ属のサボテンの一種です」
ん?
「サボテンてゆーた?」
「まさか こんなに早く咲いてくれるなんてね〜 テン君!」
あら?
オレも簡単なやつやったん?
笑ってキジを見るといつもの様に冷めた視線で
こう放った。
「どアホ」
言ったな
刺したるで
仲間達と居たあの大きな部屋から出てから
彼女とキジに出会い窓から見える世界と
この部屋の居心地の良さで欲張りになっていた。
月に顔を上げているキジをオレは横から見て思った。
広い空に円を描きながら飛んでいる鳥
その下には楽しげに話しながら通る子供達
タワーの上で毛繕いしているキジと
自由にこの部屋を歩き彼女の側にはいけない
だが今この瞬間オレは彼女を笑顔にできた。
柔らかい体なんて持ってもなけりゃ撫でてもらうなんてオレには無い事。
だけど綺麗に咲いた花に何度も近づき自慢げにキジに話している。
窓に映る彼女を背に夜の外をオレはキジとまた眺めていた。
昼間の色々な者達は今だけは静かで今はオレ達が反対に見られている様に感じた。
広がる暗い夜にたくさんの灯りの中で
たったその中のひとつの
オレと彼女とキジとの空間
全ての者達は
まったく別で
全てが特別だったんだ
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