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そう、私は泥棒。この辺りは、警戒心の薄い住民が多いから、仕事がやりやすかったのよね。
厳重なセキュリティに安心しきっているようだけど、私のピッキング術の前では、そんなもの無力なのよ! オホホホ!
と、油断したのが運の尽きだったわ……。
万事休すね……この無音の時間がたまらなく苦痛。
「見慣れない靴が、玄関に散らばってましたので……整理しておきましたわ」
重苦しい沈黙を破ったのは、家主である女性だった。
「えっ、あ、ありがとうございます……」
泥棒である私に対して、お客様のようにもてなす優しさに感動して、思わずお礼を言ってしまった。
金目の物を頂いたらすぐに立ち去るつもりだったから、適当に脱いでいたのよね……。
「ど、どういたしまして」
口からパンティーを吐き出しながら、男が不気味に微笑んだ。それ、あんたのセリフじゃないよ!
っていうか、今気が付いたけど、土足じゃない! あんた礼儀も靴の脱ぎ方も知らないの?
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