下着泥棒

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下着泥棒

 私の名前は、高森日菜子。二十五歳のさそり座です。  そんな私、現在、生命の危機に瀕しています。原因は目の前に立っているこいつ。 「いや、その……ち、違うんだよ……僕は下着泥棒じゃない。はっはっは!」  左手で頭をかきながら、開き直ったように笑う男。白髪が混じった平均的な体格の中年だ。  右手には水色のブラジャーを握りしめている。ズボンのポケットからは、ピンクのパンティーが、こちらの様子を窺っている。  なにか冷たいものでも飲もうかな? なんて企み、リビングへの扉を開けたらこの光景。  全く予想外の出来事に悲鳴も出ない……それにしても、一体、どこから侵入したの……?  ピンク色の屋根をした二階建ての一軒家。3DKの贅沢な程に広い家。防犯設備も万全なのよ。大変だったんだから全く……。  しかも、ここは住宅街の中心地。住民の目もある中で……。
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