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動物たちは不安そうな顔をうかべています。
こんなとき、落ちついてはなしを聞いてくれるキツネは、その根っこにつかまってしまっているのです。
バサバサと羽音がしました。
コマドリが枝の上をみると、そこには物知りのフクロウが来ていました。
「フクロウ。キツネが根っこにつかまってしまったらしいのです」
「それは難儀なことであるのう」
「どうしたらよいのでしょう」
「それは、みながどう感じるかによるであろうよ。なあ、タヌキ」
「そうだな、フクロウ。あんたはきっと、そういうふうにするだろうと思っていたよ」
「さあて。では我は、我の思うようにしようではないか」
フクロウは翼を広げ、空へ飛び立ちました。
みんながなんとなく追いかけていきますと、フクロウは根っこ広場へ向かい、そうして根っこの中心へ降りたちました。
根っこの中に向かって、なにかはなしかけていますが、どんなことをはなしているのか、まるで聞こえません。
「フクロウはいったいなにをしているんだろう」
「あんなところにいたら、フクロウまで根っこにつかまってしまうかもしれないよ」
広場の入口で、動物たちははなしますが、誰も中へ入ろうとはしません。
嘘をつくと、つかまってしまう根っこ広場です。うかつなことは言えません。
だってあのキツネですら、つかまってしまっているのです。
ほんとうに小さな嘘でも、見逃してくれないとなれば、近づくことだっておそろしいでしょう。
誰もが尻込みするなか、タヌキは言いました。
「なにをやっているんだい、キツネを助けるんじゃないのかい?」
「そうはいうけどタヌキさん。あのキツネさんですらああなのです。わたしなんて、どうなることやら」
「ぼくだって、あんな根っこにつかまったら、身動きとれなくなっちゃうよ」
大きな身体のクマが、大木の影にかくれます。
いつもならクマをからかうリスでさえ、なにも言いません。
タヌキは言います。
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