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清水理佳子
転校生かぁ~どんな気分なのかなぁ…
やっぱみんなにキャーキャー言われんのかなぁ…女子とか連日あちこちから見に来て、上級生とかもみんな俺んとこ来て…
「ねぇねぇ、番号交換しよ!」
「私も私も」
「キャァー、こっち見た!目があった!キャァー黒崎くーん!」
妄想するだけで俺はニヤニヤしてしまう…
こっちじゃ情けねぇところばかり見られて誰も振り向いてもくれなかったからなぁ…
俺は特に何の取り柄も無かったが、ただ唯一自慢出来ることがあるとしたら腕相撲だけは誰にも負けたことは無かった。
どんなに腕っぷしの強い奴にでも負け知らずで、
「腕相撲のタカ」
と異名を取ったほどだった。
そのときばかりはギャラリーが集まり女子からも心酔の視線を感じられた。
モテてみてぇ~なぁ…
高校1年3月1日
「黒崎君…」
学校の廊下でクラスメートの女子、清水理佳子しみずりかこが俺を呼び止めた。
「ん?どしたの?」
俺は振り返り彼女に言った。
「黒崎君…行っちゃうんだね…あの…これ…」
彼女はそう言って何かを差し出して来た。
俺はまさか人生初の…こ…告白を受けるのか?ドキドキするわ~…ラブレターとかもらっちゃうのかぁ~!
ん?何だ?お…守り?
俺は彼女に
「あのぉ…これは…」
「黒崎君…よく恐い人達に絡まれるから…それで…」
…ま…確かによく絡まれるけど…今度は俺のことを知ってるやつ居ない所に行くし…もう大丈夫だろう…
「清水…ありがとう…でも多分今度はもう大丈夫だと思うよ。他県だし、流石にそこまで行って本物と間違われることは無いかと…」
「でも…心配で…」
「てか、何でそんなに心配してくれるんだよ…」
俺は彼女の気持ちが知りたかった。結局俺のこと…好きでわざわざお守り作ってくれたのか?凄い期待して彼女の返事を待つ。
「黒崎君…前に一度私をかばってくれたでしょ…」
それは入学して2ヶ月ほど経った時だった…
清水はおとなしい性格だったからいじめられやすい体質だった。
同じクラスメートの女子二人とトラブルになって絡まれていたところを
「おい、どしたんだ?」
俺は勇気を出して止めに入った。
女子二人が
「あんたに関係ないじゃん、こいつが悪いんだよ!こいつが男横取りするから」
男…横取り?清水が?このおとなしい清水が?あり得ない!いや、無いでしょ!そんなバカな…
「清水…大丈夫か?」
俺は清水のことを心配して声をかけた。
清水は黙っていた。
女子が
「あんたは引っ込んでろよ!関係無いんだよ!」
そう言って清水の方に振り返り
「今日放課後屋上に必ず来いよ、わかった?」
清水はうつ向いて黙っている。
二人の女子はその場を去った。
「なぁ清水…大丈夫か?」
「ありがとう…」
そう言って清水も椅子から立ち上がってどこかへ行ってしまった。
その日の放課後俺はどうしても清水のことが気になって屋上に行ってみた…
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