田舎町

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 ルナが徒歩だろうが自転車であろうが、私はつけていくことができる。  まずは自宅をつきとめ、次に父と兄の顔を確認する。  女に触られたと言われれば、男は自分の無実を証明できないのだ。  雨がやんだら、復讐が始まる。嘘には嘘で報いる、清々しい復讐が。 「スゲー話だろ。誰にも言うなよ。それにしても、雨やまねーよなー」 「もうさ、ママに車で迎えにきてもらおうと思ってんだけど、月愛(ルナ)も乗ってく?」  まずい。余計なことをするな。  しかし、弟の無念はルナをもあやつっているようだ。ルナ自身が私に味方する。 「いいよ、いいよ。近いし。あたしんちが駅のむこっかわすぐのマンションだって知ってんでしょ」  そうか、そうだったのか。道理で墓石マンションが気になったわけだ。ルナ、おまえはもう逃げられない。私のもう一つの願いも叶えさせてもらうとするか。  痴漢の被害者として私の名が広まれば、きっと母は私と距離をとる。子供よりも、世間体を重んじる。痴漢にあうような娘は、恥だと考える。  これを機に、私が家を出ることもできるだろう。  嘘でなにもかもが上手くいく。きてよかった。 「知ってから、ずっと謎だったんだよね。なんで月愛(ルナ)、うちらにつきあってこんなとこきてんの? さっさと帰ればよかったのに」 「ん、なんかね、ここにこなきゃいけない気がしたんだ。逆らっちゃいけない流れみたいなの感じたんだよ。神のお告げってやつ? うっひゃひゃひゃ、大げさすぎるか。でもいいんじゃね、おかげで楽しい話もできたし。あたしもきてよかったよ」
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