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高校生活は楽しかったし
バンドやってるのも楽しかった。
でも
音楽で生きていきたいと思うほど
夢中にはなられへんかった。
主にコピーをやってたけど
オリジナルの曲を作る時に
ベースの奴がパソコンで作曲をしてた。
俺はその曲作りのための
ソフト開発の方が遥かに面白かった。
薄っぺらい曲と歌詞しか浮かばへんのに
鼻唄を音符に変えるプログラムは
次から次へと思い浮かぶ。
「紀樹のお陰で作曲やりやすなった!」
笑顔でそう言われた時に
既存の仕組みを変えて
人が喜んでくれる物を作ることが
俺の夢やと確信した。
歌の才能を無駄にするなって
仲間には止められたけど
音楽を好きでい続ける才能の方が
よっぽど大事やろ?
俺が進路希望を出す頃
コンピューター技術を学ぶには
日本より海外の方が遥かに進んでたから
進学は国外と決めた。
アメリカの大学を幾つか選んで
受験すると親に言ってからは
先生に推薦状を書いてもらうために
生徒会にも入ったし
ボランティア活動も頑張った。
「紀樹は不真面目か真面目かわかんないね(笑)」
半裸の女子に笑われたけど
俺は真面目な恋愛というものが
何かよくわからんかった。
色んな女の子の相手をすればするほど
色んな女の子から好かれた。
恋愛ってそんなもんやと思ってた。
柔らかくて暖かくて気持ちいい。
控えめに言って最高やろ?
だからやな。
会いたくて震えるなんていうのは
都市伝説やと思ってた。
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