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花なんて
店内を色鮮やかに染める花達。
この子達は今日、どんな気持ちを込められて、どんな人の元へ渡っていくのだろう。
花屋でバイトを始めてもうすぐ3年経つ。
今まで色んなお客さんに花を売ってきた。
今日は、付き合って2年の記念日に彼女のために愛していると言う気持ちを込めて花束を渡したいのだと言うお兄さんに、大きくて華やかな花束を渡した。
無料サービスの"Love you"なんて書かれた小さなメッセージカードをおまけ程度に付けて。
私には思うことがある。
みんな、花に想いを込めすぎでは?
そういうのは直接伝えればいいんじゃない?
そのことを結婚して2人の子供を持つ店長に話すと、元ギャルの名残りのある派手な巻き髪を揺らしながら豪快に笑われた。
「鈴華、恋愛したことないの?」
「あるし!ていうかそれ関係あります?!」
「あるある。なんていうか、気持ちを伝えるために花束に頼りたくなるのよ。花束に気持ちを隠すっていうか。照れ隠しみたいなもんよ」
"まあ、恋愛においてだけではないけどね"という言葉を付け加えると、店長はお客さんに呼ばれて行ってしまった。
花束に気持ちを隠す…
妙な言葉を言い残されて、その意味を脳内で必死に理解しようとしても、正直なところ恋愛に関してもその他でも経験の乏しすぎる私には、やはり到底理解できそうになかった。
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