実らない日

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実らない日

ああ、最悪だ。 夏休み明け最初の模試、第1志望D、第2志望C、滑り止めで全く行く気のない第5志望でさえB。 高1、高2と全くもって進路や受験に向き合ってこなかった私が本気で勉強をやり始めたのは、夏休みに入ってから。 思うように成績が伸びない原因を、単なる努力不足だと認めずに才能がないからだと言い訳して、そんな自分がダサい自覚もあって、自己嫌悪が止まらなくなる。   4限目の授業が始まる前、気分が落ち込んでいるのを隠そうともせず机に突っ伏していると、誰かから頭をパシッと叩かれる。 「なに、腹減ってんの」 顔を上げなくても分かる、川村だ。 「違うし、むしろ逆だし」 「言っていいか分かんないけど、斉藤が困ってたよ。お前模試返却の後はいつもそうやってテンション低いから、声かけづらいって」 「…え、」 確かに落ち込んでる雰囲気全開でいた自覚はあったけど、それで夏実を困らせてたなんて。 気づかなかった。 どんだけ余裕ないの私… 夏実に甘えすぎた。 「お前ら仲良いんだから、斉藤も遠慮せず声かければいいのにな」 「…それは夏実が優しいからだよ」 「そーなん?」 「そうだよ。後で謝っとく」 「おー」 ああ、今日は自己嫌悪の日だ。自己嫌悪しまくる日だ。見てないけど、今朝のニュース番組の星座占いは絶対に最下位だっただろうな。ラッキーアイテムは何だろう。 「さっきより死んだ顔してるぞ」 「もうほっといてよ…」 「お前も優しいんだな」 「は?」 私が訳の分からないといった顔をすると、それが可笑しかったのか、川村は笑いながら私の頭をさっきのようにパシッと叩いた。 「優しくない奴は人をちょっと困らせたくらいでそんなに落ち込まねえよ」 そう言って川村は他の友達の所へ去っていった。 模試の結果もやばいし、今から夏実に謝らないといけないし、まだ何も解決していないけれど、少しだけ心が軽くなった。
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