さよなら、初恋。

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すぐに終わると思っていた直哉との関係は、意外にも大学生になってからも変わらず、それどころか社会人になっても続いていた。 少なくとも週に一度は逢って呑んだり、遊びに行ったりしている。 相変わらず直哉の隣は心地好くて、離れたくないと思ってしまう。 だから俺は友人で居続けることを選び、あの日以来一度も好意を口にはしなかった。 「はっ、何やってんだろう..」 代わりにネットで直哉に似ている男を探し、抱かれることで満たされようとした。 そんなことをしたって、虚しいだけなことも、諦められないことも、分かっていながらそれでも辞められなかった。 こうでもしないと胸が苦しくて、自分を保てなくなりそうだったんだ。 恋愛対象として、性的対象として見ている俺を、直哉はずっと親友だと言い続けてくれる。 黒く染まっていく心を、穢れていく身体を、どうか知らないままでいて。 ちゃんと上手く立ち回るから。 「今回は続くような気がする!..多分?」 学生時代同様、直哉は彼女を取っ替え引っ替えしていた。 相手が替わる度に親友として紹介してくれる為、その都度三人で呑みに行った。 話を聞かされるだけでも傷付くというのに、実際に目の前で恋人らしい空気感を出されると、本当は気が狂いそうだった。 それを誤魔化すように俺は、いもしない彼女の話を面白おかしく話したり、時には女友達を恋人と偽って紹介したりもした。 いつかバレるのではないかと内心穏やかではなかったけれど、直哉はまるで疑いもしない。 嘘を吐いている申し訳なさや罪悪感がない訳ではなかった。 けれど俺には、そうすることしか出来なかったのだ。
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