さよなら、初恋。

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駅に着き改札を抜けると、ホームに横並びになって立った。 こうやってこの駅で一緒に電車を待ったことは今までに数え切れない程ある。 その度にあの日の告白を思い出しては、気持ちを押し殺してきた。 けれどそれも今日で最後、最期にするんだ。 全て終わらせてしまおう、もう何もかも全部。 「..高校の卒業式の帰りにさ、此処で俺が直哉のこと好きだって言ったの覚えてる?」 「ああ、覚えてるよ!ふっ、懐かしいなあ。」 「あれ、本当は寂しくなって言ったんじゃないんだ。」 「..そうなの?」 横目で表情を窺いながら、静かにゆっくりと問う 。 出来るだけ穏やかに、声が震えてしまわないように。 すると心の底から懐かしそうに、目を細めて直哉が笑う。 忘れないでいてくれたことを嬉しく思うと同時に、でも本当の意味は伝わってないんだもんな、とすぐに哀しくなった。 あの時のことを修正すると、心臓が激しく脈打つのを感じる。 じゃあ何なのだろう、といった様子で直哉が考えるように首を傾げた。 「..俺、直哉の恋人になりたかったんだ。」 真っ正面に移動して、直哉の目をしっかりと見る。 そしてひとつ深呼吸をすると、ずっと秘め続けてきた想いを涙と共に吐き出した。 当たり前だけれど、直哉は困惑した表情で此方を見ている。 口を開いては閉じてを繰り返し、言葉を探しているようだった。 「..ごめんな、幸せを願えなくて。」 ぼろぼろと溢れ落ちる涙をそのままに、ほんの少し背伸びをして触れるだけのキスをした。 それに驚いた直哉は俺の両肩を掴んで引き離すと僅かに後退り、気まずそうに目線を彷徨わせている。 どうにか絞り出した声は、ひどく細く掠れてしまった。 「..愛してるよ、誰よりも。」 まもなく快速列車がまいります、というアナウンスが聞こえると線路の方に身体を向け、黄色い線の内側を出た。 そして首だけで少し後ろを振り返り、自分勝手な愛を紡いで笑ってみせた。 ーーーあゆ、 前を向き直し、徐々に近付く先頭車両を見つめる。 後ろで戸惑ったような声の直哉が名前を呼ぶ。 それと同時に、俺は線路に飛び込んだ。
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