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序章
AM4時30分。
俺の朝は一般男子高校生より幾分か早い。
朝日も昇ってない暗い時間に目覚め(2人で1室の寮部屋の相方の睡眠を邪魔しない程度の小さな音量のアラームをかけて)、お湯を沸かして一杯のコーヒーを飲む。それから3人分の弁当を作って、朝ごはんもおまけに作って、干してあった洗濯物を畳んで、やっと自分の支度に取りかかる。
髪のセットは割とこだわるタイプ。
洗面所で俺が髪をいじいじしてる頃に相方はのそりと起きてくる。
「おはよお……ふあーあ」
ぼりぼりと髪を掻きながら欠伸をもらす相方こと山田 慎之介。大柄で無骨な見た目にそぐわない、慎ちゃんというかわいいあだ名がついている。
「はよ、慎ちゃんそこに今日のお弁当置いてあるから持ってって」
「ん。ありがとな四川、おめえは立派なこの学校のおかんだおかん。ままーありがとちゅっちゅ」
「きもいきもい、唇突き出しながらこっち来んな。」
慎ちゃんの、朝の面倒くさい絡みを適当にかわしつつ鏡の前でキメ顔をして身支度完成。今日も俺はかっこいいな。
「ほら早く朝飯食うぞ」
テレビをつけて軽く雑談を交えながら朝飯を二人で食べる。
「にしてもまだ1年生なのに風紀副委員長なんて大変だな」
「んーまあな。つか俺が忙しいのは風紀っつーよりあの人のせいっていうのが主な原因じゃねえかと思う」
「……確かにな。まあでも頑張れよ」
「ありがとな、……お粗末さん、んじゃ行ってくるわ」
「おー」
慎ちゃんが無表情で手を振ってくるのを横目にささっと歯を磨いて部屋を出た。
次はあの人の所だ。
俺の朝はずいぶん長い。
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