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「あははっ、それであんた転校初日から不良に絡まれたんですかっ?」
「そうなんだよ。『なんだこのモジャ男は!』ってバカにされて急に殴りかかってきてさあ、大変だったんだからな!」
頭に手をやってぶぅーっと口を尖らせる転校生。彼の話は実に痛快で面白かった。
「この学校は色んな人間がいますからねえ、それこそ不良だったりぼっちゃんだったり、あんたみたいな変わった人だったり」
「むう、オレはそんな変わってないぞ!てか、そんなよそよそしい呼び方じゃなくて名前で呼んでくれよ!」
ズズっと顔を寄せてくる転校生。ちょいちょい、距離のとり方狂ってないか。
「えーと、皆月、クンでいい?」
「はあ?ここで会ったのも何かの縁だろ?太陽って呼べよ!オレも馨って呼ぶし!」
「分かりましたよ。それじゃ、ここに理事長いるんで」
もう少しこの変人と話をしていたかったけど、理事室に着いてしまった。
「ここまでありがとな。また話そうぜ!」
満面の笑みでぶんぶんと大きく手を振ってくる太陽に、こういう人のことをコミュ力おばけって言うんだなとしみじみ思う。
授業が終わり、教科書などの荷物を鞄にしまっていると奏先輩が俺の元まで駆け寄ってきた。
クラスメートからの視線が痛い。
「あまり目立つ行動は避けてほしいんですけど」
「どうしても気になっちゃってぇ。さっ、このまま生徒会直行だよおー!」
「うわっ、だからベタベタしないでくださいってば!」
強引に腕を絡め取られて、半ば引きずられる感じで生徒会へとたどり着いた。
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