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風紀室に向かって歩いていると、ふと俺ひとりで生徒会室に行くことが増えたことに気づいた。
今までなにかと煌さんについていくことが多かったんだけど、こうやって転校生の案内(不本意)や生徒会の呼び出し(不本意)とか“俺自身”に対することが増えてきた気がする。
自然と口角が上がるのをこらえていると、先のほうがなんだか騒がしい。なんだなんだ。
気配を殺して近づいて様子を見る。
「ちょっ、触らないでよっ!」
「えー?ちょっとぐらいいいじゃーん!」
「少しだけだからさあ!」
「…大丈夫、ここなら人も通らないし、ね?」
3、4人で寄ってたかって1人の子を壁際に追い詰めてズボン脱がすって、はいこれ現行犯逮捕だねー。
確かにこの辺りは人の行き来が少ないけど、生徒会室に近いってことこの人たち知ってるのかな。
度胸があるのかないのか。
押し殺していた気配を、そりゃあバーッと全開にして風紀が来たことを示した。
「あんたらその子から手を離しなさーい」
「げっ、風紀…!」
男たちに動揺が走る。
その一瞬の隙をついて、襲われかけてた子が俺に抱きついた。
「大丈夫ですか?何もされてない?」
「大丈夫、なんとしてもケツの穴だけは守りたかったから…」
なかなか強い人だ。だがしがみつくその腕は震えている。
背中をぽんぽんと叩きながら、男たちを睨む。逃げもせずに挑発的にこちらを見ているそいつらに久々に心がざわめくのを感じた。
「すみません、悪いんですけど他の風紀委員呼んできてもらっていいですか」
「え…?」
「おれ、コイツらの相手しないといけないんで」
そっと華奢な体を離して、ネクタイを緩くする。
「すぐ呼んでくるからっ…!」
パタパタと可愛らしく去っていく背中を見届けてからそいつらに向き合う。
「たまには息抜きも大切ですよね」
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