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………………
昨日の放課後、俺は転校生の元へ行くことが確定した。椿に言われてしまったのだし、ただ少し話をするだけでいいからそこまで気は重くなかった。
そう、重くなかった。ついさっきまでは。
「なんてやつだ、皆月太陽……!!」
俺みたいな役職付きが前触れもなく関わりにいけば転校生の立場は悪くなってしまうだろう。
親衛隊のあの子たちは“特別”な存在に厳しいからな。
そう考えて、人前で関わりに行くのはやめようと思っていたが俺の考えは間違っていたのかもしれない…。
朝、気配を消して物陰から登校するのを待っていたが全っ然来なかった。聞くところによれば、あいつが来たのはチャイムが鳴る10秒前だという。
次に俺は、昼休みになった途端に奴の教室に押しかけてみた。すでにもぬけの殻だったがな。そのあとあちこちで目撃情報を得ることができたが、分かったのは皆月太陽の行動範囲が広すぎるということだけだ。
そして放課後、教室にいないのは重々承知していたので学校の中を探しに行ってみたはいいが……、
正直舐めていた。外見だけだと思っていたが、中身も並ではなかったんだな。
これは1度、作戦を練り直す必要がある…。
***
「で、和っちは泣く泣く生徒会室に戻ってきたんだねえー!!」
「笑うなバカ。お前も一度あの転校生のあとを追ってみるといい」
「ぎゃははっ、俺はめんどくさいのきらーいっ!」
「はあ…」
ため息が漏れる。
奏にここまで笑われるのは腹が立つが、皆月太陽に接触できなかったのだ。認めざるをえない。
「また明日挑戦してみる」
「あははっ、挑戦!挑戦、って試練でもなんでもないんだからさあ。単にもじゃもじゃくんと会うだけなのに…、挑戦て…、むふふふ」
口を両手で抑えながらにやにや笑っている奏。その膝の上に頭を乗せて休んでいる梓もくすくすと笑っている。
双子でこんなにも与える印象が違うのか。
「楽しそうだね奏は。ま、君は一度言ったら曲げない男だしね。気が済んだら戻っておいで」
椿はしっし、と面倒くさそうに手を払う仕草をした。
帰ったらとりあえず、スタミナ補給のためにまゆたんのアニメを見よう。
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長い間更新を怠ってしまい申し訳ありません!
気づけば読者さまも増えており200スターも頂いておりました。毎日スターをくださり、応援してくださった方もありがとうございます!!
この作品は完結まで書きたいと思っておりますので、亀更新にはなると思いますがよろしくお願いします!
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