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「はーーい、煌さん起きてくださーーい、朝ですよーーー」
わざと大きな音を立てながら扉を開け(合鍵持ってるんで)、布団にくるまって寝ているあの人に近づく。
「煌さーーーーん、おはようの時間ですよーーー」
「……るせえ」
「うるせえじゃなくて起きてくださーーーい」
「………あと5分」
ほんっっっとに面倒くさいなこの人。
しびれを切らして布団を勢いよく剥ぎ取る。おっと、その反動で煌さんは壁にぶつかってしまったようだ。
「ってえ。……おい馨、てめえ」
「さあ起きてください!!ご飯食べますよ!!」
煌さんが朝ごはんをぼそぼそと食べているうちに、彼の洗濯物を畳む。ようやく最近、夜のうちに洗濯機を回して自分で干すようになったんだよな。
今までどうやって生活してたんだこの人。(今までは彼の親衛隊がかわるがわるお世話していたらしい。)
軽く部屋の掃除をしてハンガーにかけてあるシャツにアイロンをかける。
「ごちそうさん、相変わらず飯は美味かった」
「飯はってなんですか飯はって。ああほら、流しに食べたもん置いといてください。あんたは早く自分の支度して、もうこんな時間ですよ!」
「ん」
龍ヶ崎 煌。2年。風紀委員長。
俺よりひとつ上のくせして生活スキルは皆無。神はカリスマ性だけを授けたのか。この人なんでもそつなくこなせるくせにやろうとしないんですよ。まさに宝の持ち腐れ。
おまけに朝、覚醒するまでが長い。だからこうして俺が朝ごはんまで作って甲斐甲斐しく世話をしている。
「行くぞ馨」
「言われなくても行きますよ。戸締まりしっかりしてくださいね!」
「……わかってらあ」
ほんとに大丈夫かなこの人。
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