序章

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昇降口で煌さんと別れ、自分の教室へと向かう。 「よっ、お疲れ四川」 肩を叩いてきたのは同じ風紀委員の2年生、佐々木原先輩だった。 「先輩こそ、生徒会の警備お疲れさまです。すみません、毎朝間に合わなくて」 「いいっていいって。お前の大変さは俺たちだって十分承知さ。あの龍ヶ崎だもんなあ」 爽やかに笑って背中をバシバシと叩く佐々木原先輩の労りに感謝しつつ今朝の様子を尋ねる。 「相変わらずですか、生徒会の親衛隊の方々のは」 「んー、まあな。今日も『みなさんかっこいいー!』ってキャーキャー騒いでたぜ」 「生徒会の人たちも愛嬌振りまくのやめてもらえたら楽なんですけど」 「ははっ、確かにな!じゃ、勉強がんばれよ!」 「先輩こそ」 生徒会の親衛隊による、生徒会役員のお出迎え。毎朝恒例である。 ただただ生徒会の人たちが来たらキャーキャー騒ぐだけなんだけど。雨の日も風の日もやるんだから愛が深いよな。それゆえに過激行為に走る人らがいるのもおかしい話ではない。 親衛隊の厄介なところは、『制裁』と称して対象相手に近づいた生徒たちに暴行やいじめをするやつらもいるってところだ。一部のやつらは、対象相手を神聖化しているところがあるからな。ガチ恋勢も要注意だ。 ちなみに、俺にもなんちゃって親衛隊がいる。彼らのあまりの熱意(ある意味ね)に、つい俺も公認してしまったのだ。(親衛隊は本人から了承を得ないと作れないのだ!) そのうちのメンバーの一人が、同じクラスの葉山クンだ。 教室に入って自分の席に着くと、俺の元へ駆け寄ってきた。
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