序章

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「ん、このおかずうまいな」 「やった、俺も煌さんそれ好きだと思って作ってみたんです」 「うまい」 切れ長の目に、すっとした鼻立ち。薄い唇は色気を出している。 黙っていりゃあこの人、思わず見とれるほどかっこいい。ナマケモノレベルで何も動かないところがなあ……。 煌さんとお昼を食べながら仕事の確認をして、俺の昼休みはだいたい終わる。 *** 風紀委員の最もいそがしい時間は言わずもがな放課後だ。 何か事件がぼっ発してないか、校舎の見回り。いかがわしい不健全性的行為の取り締まり。生徒会との行事についての話し合いや仕事のやりとり。(これは主に俺や煌さんだな) やることが山のようにあるのが風紀委員である。 放課後、まず向かうのは風紀室。生徒会室があるように風紀にも部屋が設けられているのだ。 「みなさんどうもでーす」 「おー四川、お疲れ」 各々と声をかけてくれる風紀委員ズ。 風紀委員は約16名の小さな組織だ。 規模の小さい部活のように思ってもらえたらいいかと思う。 「お、今日は珍しく煌さん早いっすね」 「週の始めだしな、たまにはお前らを出迎えてやろうかと思った」 あんた長の椅子にふんぞりかえってるだけじゃないか。それでもその心遣いが委員には沁みるんですよ。 「てことは俺がラストだったんですね。 それじゃ今週の見回りの説明していきまーす。 基本二人組で行動してくださいね、紙に載ってる組み合わせ通りでお願いします。二人だけでも対処できないなーと思ったときは迷わずグループメッセージに連絡くださいね、団結力だけはどの部活にも負けないんで。現場に遭遇したときは、被害者のアフターケアもあるんで風紀室に連れてくること。……何か他にありましたっけ?ないですね、んじゃ放課後も頑張りましょーう」 何人かがぞろぞろと部屋から出ていった。
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