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首を傾げながらそう言えば、貴良は「取って」と床に置きっ放しにされている自分のスクールバッグを顎で示した。
ポッキーを食べていた手を一旦止めて「はいはい」と返事をしながら、それに手を伸ばす。
横のポケットに入っていたスマホを取り出して、それを手渡した…までは良かったんだけど、元の体勢に戻る拍子にスクールバッグに肘をぶつけてしまった。
「っわ、ごめん」
倒れた衝撃でバッグから飛び出した中身が床に散らばる。
すぐに「そのまま置いといてくれていいけど」と言う声が降ってきたけど、そうもいかない。
慌てて掻き集めていると、シンプルなデザインの折りたたみの財布がぱっかりと開いてしまっていて、これまたカードやらが飛び出してしまっている。
中身を戻そうと手を伸ばした瞬間、
「──っええ!???」
“あるモノ”が視界に飛び込んできて、思わず叫ぶような声が出てしまった。
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