154人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
いきなり大声を上げたあたしに、貴良はうざったそうに眉を寄せてから視線を寄越した。
「うるせえんだけど。なに」
「いや、なにってこっちのセリフなんだけど!?!?なんなのよ、これ!?」
親指と人差し指で摘むように持った、小さな四角のそれをズイっと前に出せば、貴良はしらっとした顔で口を開いた。
「なんなのって、ゴムじゃん」
なんて事のないようにそう言い放って、再びスマホの画面に視線を落とす。
「っいや、それは分かってますけどね!?」
「別にそんな珍しいもんじゃねえだろ。なんでそんな騒いでんの」
「だって!なんで貴良がこんなモノ持ってんの!?童貞のくせに!!」
あ、一言多かったかもしれない。
そう思った時にはもう遅い。
ぎろりと睨むような眼差しを向けられて、身体が強張ったのも束の間。すぐにハァーッと大きな溜め息を吐き出した貴良は、依然としてうざったそうに口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!