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「貰ったから入れてあるだけ」
「貰ったって…誰に?」
「別に誰でもいいだろ」
「……」
ふい、と。ついに顔を逸らしてしまった貴良の横顔と、手元にあるコンドームを交互に見てから、ゆっくりと口を開いた。
「まあ、大体予想はつくけどね。いつも一緒に居る悠馬くんに貰ったんでしょ?悠馬くん、女慣れしてそうだもんね。そりゃあゴムのひとつやふたつ、当然のように持ってるよね」
「……」
「どうせ“東京行く前に童貞卒業しとけよ”とかなんとか言われたんでしょ?」
「……」
「あっれ〜??図星??」
にんまりと笑いながら顔を覗き込めば、貴良はムッと眉を寄せて「だったらなんだよ」と低い声を出した。
「こんな大事に保管しちゃってさぁ〜、満更でもないんじゃん?」
「……」
「もしかして、篠崎さんとワンチャン狙ってたりする?」
からかうような声でそう聞けば、貴良はますます眉を寄せて、あたしの肩をぐっと後方に押した。
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